FIFA女子ワールドカップ 2011 ドイツ 日本 VS アメリカ

今日は、さすがに何か書き残したいなと思いました。

正直、勝てるとは思ってなかった。今この瞬間、「W杯の決勝」の舞台にいることそのものに満足していた。それでもそれじゃ勝てないんだよね。選手たちからは、そんな雰囲気は欠片も感じなかった。それがとても心強かった。試合の内容や結果をあらためてここに書くこともないだろう。とにかく漫画でもなかなか採用されないような劇的な展開だった。その主役が、我々が誇るなでしこだった事が何よりもうれしい。

澤選手はもう、「女子サッカー史上」なんてくくりではなく「日本サッカー史上」最高のフットボールプレーヤーでいいと思う。守備力、攻撃力、決定力、走力、判断力、そしてリーダーシップ。あらゆる面で最高の能力を持つプレーヤーなんて男でもいない。彼女の姿を見ていつも思うのは、あの時、同じ灼熱のドイツで、今「旅人」を名乗っている男にこういう選手になって欲しかったという事だ。彼女の中にフットボールのすべてがあると言っても言い過ぎではないと思う。

一つだけ気になるのは、岩渕選手の事。彼女の才能の巨大さは他の選手の比ではないと思う。それでも、彼女を先発で使えない理由は、素人の僕でも分かる。TLでも、僕を含めて彼女の登用を望む声が多かったが、監督にとって彼女は丸山や川澄の次のオプションにしかならなかった。彼女には猛省して欲しい、何が自分に足りなかったか。何をすれば先発で出られるのか、大事なところで使ってもらえるのか。途中交代で入ったフレッシュな一番の若手より、最年長のリーダーが多く走っているように見えた事実を、岩渕はしっかりと受け止めるべきだ。それでも、僕たちは彼女が間違いなくなでしこの圧倒的なエースになる事を信じているから。

今回のなでしこは、CBの安定感が素晴らしかった。岩清水選手の決勝終了間際のファウルは、これまで数年間、様々な試合を見た中で最高のプロフェッショナルファウルだった。また、宮間のような「女版遠藤」と言える選手がいた事も、今回のチームのすごいところだと思う。そして、坂口選手。こういう場所で彼女の活躍がなかなか語られない事こそ、彼女が最上級の仕事していた事の証明であると思う。オシムさんの言うところの「水を運ぶ選手」を体現している存在だ。

語りつくせないほどの個性の集まりだったなでしこ。BSの解説で小島さんが語っていた「これから追われる存在であり続けるために何をすべきか?」という事を、みんなで考えるべきだ。今日の歓喜の数日後、彼女達はプロのフットボールプレーヤーとして、日常に戻る。そんな彼女達の姿を、いつでも誰でも安易に見れる環境を作る方法を僕たちは考えなければいけない。報奨金なんてほどほどでいいから、彼女達のリーグ戦の宣伝費を十倍にしてあげて欲しい。スカパーだろうがフジだろうが日本テレビだろうが、どこでもいいから、そんなに高額じゃなくてもいいから、リーグ戦の放送権を買ってくれ。これから、様々な守銭奴達が彼女達に群がってくる状況は十分予想できるけど、それを利用してのし上がるくらいの度胸が欲しい。

まあとりあえず、これから数日はそんな細かい事は気にせずに、この歓喜の時を楽しもうや。だって、世界一やぞ?これからもう何度体験できるか分からないぞ?


「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」


やっぱり古くからの言い伝えは本当だったんだな。


追記:当然だけど、上記の太字と写真の元ネタは、これこれね。しかし、この写真撮った人とナウシカの名台詞を思い出した人はすごいと思う。