ジョン・レノン・スーパーライブ 続き

☆「真夜中を突っ走れ」パフィー
再び登場。まあ、よく考えてみるとこのノリがパフィーの持ち味なんだよね。一生懸命のパフィーっていうのも確かに違和感あるし。
☆「パワー・トゥ・ザ・ピープル」小柳ゆき
続いてまったく対称的な人が登場。ステージの端から端まで走り回って熱い、熱い。しかもムチャクチャ歌がうまい。ちょっと感動。去年の加藤登紀子バージョンとはまったく別物でした。
☆「ディジー・ミス・リジー奥田民生
入ってくるなり「いやー、今日はリッケンバッカーを持ってきまして、この・・」と先ほどとまったく同じ話をして会場を和ませていました。こういう雰囲気に持っていくのが本当にうまい人だなあと感心。あくまでソロじゃなくビートルズナンバーにこだわるのですね。もちろん安心して見られる演奏でした。
☆「ウォッチング・ザ・ホイールズボニーピンク
恥ずかしそうに「奥田さんの後に歌うのはつらいです」と言いながら難曲をさらっと歌いました。この人も歌うまいね。帰り際に、はにかみながら小さく手を振る仕草がとても可愛かった。
☆「グロー・オールド・ウィズ・ミー」杉真理
イマジンに関する思い出話をひとしきり話した後、しっとりと。彼の独特のハイトーンを聞くと、高校・大学の頃を思い出します。
☆「クリップルインサイド」「?」押葉真吾
というわけで、一年に一度登場する謎のシンガーが登場(笑)。これまでのライブの収益金で作られたアジア・アフリカの学校の子供たちと日本の子供たちが送り合った絵をスライドで紹介する間にBGMとして一曲という控えめな展開。続いてなぜか宮本亜門氏が登場。同じくスライドで9・11の映像やらを次々と映しながら「これは正しいことですか?」という問いかけをして、世界の現状を憂うという形式。それに続けて押葉がもう一曲。聞いたことはあるのだけど、恥ずかしながらタイトル分かりませんでした。後で本人に聞いてみます。歌はともかく、今回はベーシストとして全編活躍していました。いや、身びいきでなく客観的に見て、彼のベースの腕は素晴らしいと思います。
☆「女は世界の奴隷か?」小柳ゆき
これも選曲が素晴らしい。彼女のようなぶっとい声のシンガーが歌うにはぴったり。素晴らしい出来でした。
☆「アイム・ルージング・ユー」「ウーマン」「スターティング・オーバー」YOSHII LOVINSON
さて、恐らくこの日最も多くの黄色い声援を受けていた方の登場です。1曲目は5年前と同じ曲。ちなみに、YOSHII LOVINSONとして公の場にでるのはこれが最後だそうです*1。彼の今の年齢である39歳は「ダブル・ファンタジー」を録音したであろう年齢と同じということで、今回はそのアルバムから3曲選んでました。「ウーマン」はちょっと彼のカラーとは違うかなと思いました。もちろん歌はうまかったし、完璧に歌いこなしていましたが。
☆「マインドゲーム」「イマジン」(朗読)小泉今日子
2曲続けてではなく、合間合間での登場でした。いや、いるだけで十分ですけどね、彼女の場合。とりあえず本物を生で見れたことに感激。
☆「ひとりぼっちのあいつ」「マザー」「イマジン」忌野清志郎
そしていよいよ御大登場。まるでJBのようにマントを羽織って、常に後ろにお付きを従えていました*2。まず普通に1曲。さらに「昨日書いたばかりだから」ということで、マイクに歌詞を貼り付けて、日本語で「マザー」を熱唱。続けて「今の現状をジョンが生きていたらどう思うんだろう?」と。さらに「憲法9条はジョンの歌みたいだ、みんな、日本の憲法を世界に自慢しようぜ!」とも。こういう政治的な内容は違う人が言うと説教臭くなるけど、なぜ彼が言うと説得力があるのだろう?胸が高鳴る中、ついに3曲目で「イマジン」を。

COVERS

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上記のアルバムが発表された15年前の段階で、この「イマジン」という曲は、色んな人間に利用され、勝手に様々な解釈をされ、手垢にまみれ陳腐なものになっていたと思う。しかし清志郎のシンプルで力強いこのバージョンによって、新たな命を吹き込まれたのだ。まさか彼が歌う「イマジン」を生で聞ける日が来るとは。この5年のスーパーライブの中で間違いなく最高のパフォーマンスでした。これでエンディングにつながるなんて、最高の展開だななどと思っていたら・・・。
☆「アイ・ウォント・ユー・トゥ・リメンバー・ミーオノ・ヨーコ
再び宮本亜門氏登場。たっぷりともったいつけた後、オノ・ヨーコさん登場。そして、なんと1曲歌うとの事。フィリピンかどこかの国のDVで妻が自分の夫に殺された事件をモチーフにした歌との事でしたが・・・オノ・ヨーコ、御年72歳、未だ衰えずというところでしょうか。歌というよりは、バンドの演奏に乗せた寸劇と身をよじらせながらの叫びを十分近く。ええ、武道館の推定八千人は引き潮のようにドン引きでしたよ(苦笑)。ロビンのファンとかどう思ってたのかなあ。いや、そもそもジョンの曲を歌ってない時点で反則なんですけど、そこはやはりヨーコさんですから・・。
ただこのコンサートが始まって以来、常に不満に思っていた、会場全体に流れるぬるーい「愛と平和」の大量生産にうんざりしていた自分としては痛快。今現在、我々の住む世界の首筋にナイフが突きつけられていて、いつ歌の中の女のように喉をかき切られてもおかしくない状況だということをはっきりと伝えてくれる怪演でした。何でこの人は、自分で何か表現する時はここまでラジカルに出来るのに、ジョンを「愛と平和の使者」みたいな存在に祭り上げるのでしょうか?本当に不思議な人だ。


というわけで、続いて何事もなかったようにいつものぬるーいエンディング。ヨーコさんが勝手に一人で帰っちゃったので、ダラダラと各アーティスト退場。清志郎氏が押葉に「本当に帰っていいの?」みたいな感じで、何か聞いていたのが笑えました。
去年の地味な展開とはまったく違う、内容たっぷりのライブでした。個人的には東京まで行った甲斐はありました。いくつかのブログを見ても概ね好評だったようで。ちなみに学校設立は当初予定していた数を今回の収益で達成できそうとの事だったので、本当に今年で最後かもしれませんね。さてどうなるか。

*1:「変な名前なので変える」そうです。あんたが自分でつけたんやろ。

*2:もちろん、その人の仕事は脱ぎ捨てたマントを持って変えるだけ。