三浦和良「サッカー観を変えたトルシエとの出会い」

個人的には、フィリップ・トルシエという監督は欧州では普通レベルの監督だと思う。彼が在任中主張し続けていたことは、しごくまっとうな事ばかりだったし、それを理解できる選手が少ないということが、そのまま日本サッカーの未熟さの証明であった。カズは「20代だったらぶつかっていたかも」と言っているけど、その当時のメンバーは確かに若手が多かったし、仕方のないことだったのかな。特に中村俊輔選手に関しては、その当時の青臭さから充分理解できるけど、中田英寿選手のような賢明な選手がトルシエの言うことを聞かなかった理由が、その頃僕には解せないことだった。今の彼の姿を見れば、なんとなく理解できるけど。中田選手がプランデッリトルシエのような監督とぶつかっていた事とドイツにおいて、彼が日本の真のリーダーになり得なかったことは決して無関係じゃない。もし中田氏が今後指導者としてサッカー界に戻ってくることがあれば、ぜひ、そのリーダーとしての適正の欠落部分を補ってから戻ってきて欲しい。