「W杯より強くなってない」(セルジオ越後 ちゃんとサッカーしなさい)

基本的にこの方の物言いは「ご意見番」という立場を守るために、批判のための批判を繰り返しているように見える。芸能界で言えば和田アキ子のような存在。意外とこういう人の喋る事を信用する人も多いと思うし、実際日本サッカーの恩人である彼は業界では一目置かれているだろうし、真っ当なことを言ってる事も多いけど、個人的には、前回のアジアカップでのマッチポンプ的な勝利にけっこう本気で感動している様子をテレビで見てから、この方の言うことはほとんど信用しないようにしている。上記のコラムも突っ込み所がけっこうあるけど、一番引っかかったのはこれかな。

ピッチで戦っている選手は、個性を発揮して状況を打開しようとしていない感じを受ける。常にベンチを、オシム監督を意識していたのが気になる。コロンビアと戦っているというよりは、オシム監督と戦っているようだ。選手の個性が消えている。勝てば、それでも良いけど、勝てなかった。このチームで、以前のようにスタジアムを満員にする戦いをすることは難しいんじゃないかな。
 前では高原が頑張っている、後ろでは中沢が奮闘しているサッカーでは、オシム色は見えず、いまだにジーコ色に見えてしまう。そして、あの時から決して強くなっていない。納得できるようなサッカーもしていない。

あの試合の後半のように、ピッチ上の選手一人一人からのメッセージが熱いほど伝わってくる*1試合を、僕はジーコジャパンの頃に見た記憶は一度も無い。少なくとも半分は同じ選手なのに。人が同じなのにそこにあるのは紛れも無く違うサッカーだったように僕には見えた。本当に彼は同じ試合を見ていたのだろうか?たぶん、試合を見る前に何言おうか決めてるんだろうな。もちろん進化の途中であるから完成度が高くないのは当然だけど、その完成形を見たいという欲求が生まれなくて、スタジアムが満員にならないのなら、日本のサッカー文化の程度が低いということでしょう。それを向上させるのが、彼らのようなご意見番の仕事のはずなのだけど。そんな大御所の感性がこれなのだから、そりゃいつまでたっても、スター頼みの観客動員になる訳ですよ。批判は悪いことではないけど、粗探しはみっともないなと。

*1:そして、そのメッセージはまぎれもなく「この相手に勝ちたいという」想いだった。