岡ちゃんは「日本サッカーの宝」


岡田監督が誕生へ サッカー日本代表


ほぼ予想通りの展開と言ってもいいんじゃないでしょうか?

僕は感傷的な人間なので、岡田武史氏に関しては冷静に語る事は出来そうにない。あの10年前の絶望的な状況から日本サッカーを救ってくれたのは間違いなく岡ちゃんで、その事を僕は決して忘れない。あの当時から、政治的な思惑でしか物事を進められない協会から、責任を押し付けられるかのように重責を引き受け、クラブの監督さえ経験したことのない彼が成し遂げた偉業は、彼のコーチとしての能力の高さを証明している。そして、今の彼はあの頃よりもずっとコーチとしての能力は上回っているはずだ。きっと、あの時出来なかったことが今なら出来るという思いがあるだろう。当時のあの何とも言いようのない悔しさを晴らして欲しい。だから僕は、本当に心の底から、彼にもう一度日本代表を率いて欲しいと、ずっと思っていた。


でも、それは今じゃない。


「岡田さんしかいない」という言葉が、そのまま自分達の政治力や能力の低さを宣言しているにも等しい事を、彼らはなぜ気づかないのだろう?多少、状況は違っても、構造的には、予選敗退の危機に直面していたあの時とまったく同じだ。なんでいつも、他人の尻拭いやその場しのぎの状況に彼を引っ張りだそうとするのか?岡ちゃんは「日本サッカーの宝」なのに。
誰が何と言おうと、岡ちゃんは間違いなくW杯を監督として戦った、たった一人の日本人なのだ。代表監督退任後、勉強をかねて外国に行った際、当時ユベントス監督だったリッピ氏に「君はW杯で代表チームを指揮した監督なんだ。それは本当にすごい事なんだよ。」と言われたそうだ。彼の経験は何にも替えがたいものなのだ。だからこそ、彼に代表監督の仕事を頼むのなら、「オシム路線の継承」などという的外れな言い訳ではなく「岡田武史のサッカーをして欲しい」という最高の敬意を持って依頼されるべきだ。もちろん、客観的にみれば、オシムとの監督としての能力の差は大きいという事は良く分かっているけれど。できれば、さらなる経験を積んだ上でこの仕事に臨んで欲しかった*1
おそらく協会には今回の人事に関しては、自分達がコントロールしやすい人選という思惑があるのだろう。そんな状況を見ても、出来ればこのオファーを断って欲しい。今の協会の中で、岡ちゃんに仕事をして欲しくない。でも、彼はきっと引き受けるだろう。あのドーハの悲劇の際、テレビカメラの前であるにもかかわらず男泣きした岡ちゃんだから。数パーセントの勝利の可能性のために一人の偉大な選手を切り捨てる事で、選手や関係者だけでなく、日本国民からの罵詈雑言を引き受ける覚悟が出来るほど日本のサッカーを愛している岡ちゃんだから。
願わくば、もし彼がこのオファーを引き受けるなら、これで自分達の思い通りになると思っている連中や「岡ちゃんかよww」「ニポンオワタww」などとほざいている奴らと戦う力を、彼に届けたい。絶対見返してやれ。俺も死ぬ気で応援するから。

*1:実際、W杯の直後に、欧州のクラブからオファーがあったそうだ。