「悪いのは誰?−ある無人島漂流の物語」について

あまり細かく言及するつもりはなかったんだけど、id:kanoseさんにidコールをいただいたのに、返事をする文字数の余裕がブックマークにはないので、本体で取り上げる事にしました。

最初、なぜこんなにもめているのかが分からなかったのです。そういう意味で僕はこの件に関して問題をまったく把握していないと言えるでしょう。
そもそもこのグループディスカッション(以下GD)において尋ねられているのは、「この5人の中で悪いと思うのは誰でしょう?」という質問なのに「その質問を作った奴が悪い!」では答えになってないんじゃないでしょうか?もちろんひどく趣味の悪い質問だし、展開によってはそのGDを行った人間の間に後味の悪いわだかまりが残りそうな議題ではあるけども。もし僕が現場にいて、実際に議題そのものの是非を問われたら、「そういう質問や意見はこのGDが終わってから受け付けます」と答えると思う。この質問を作った方が、どの程度の展開を想定しているかによって状況は変わりますが。
そこで交わされている言葉や内容が、どれだけ反吐が出そうに下劣な内容であったとしても、きちんと提示されている指示を完遂しない限り、それは仕事の放棄でしょう。そして、この研修も間違いなく仕事の一環で、サラリーをもらっている活動の一つなのです。ましてこのGDの場合は、議題の枠の中で男根主義とかセクシズムともいえる思想を、一人の登場人物を批判することによって糾弾できる猶予があるのに。ちなみに、僕はこの5人の中で圧倒的に悪いと思うのは、自らの欲望のために自分の技術を利用し、結果的に幾人かの人々の心を傷つけた「船を直した男」です。発想はこの設問をセクハラだと言っている人達と同じだと思っています。この設問そのものの是非を問題視する方があまりにも多かったので、そこはちょっと疑問でした。いや、もっと言えば、本当にこの件に関してはとんでもなくナイーブな人がたくさんいらっしゃるんだなあと驚きました。世の中、ここに出てくる登場人物よりも数万倍下衆い奴らは山ほどいるし、そんな人相手でも仕事せにゃならん機会もくさるほどあるんですが。
id:takerunbaさんのこのエントリーを、たまたま聞いた話が興味深い事例だったのでアップして、様々な反応を見てみたいと思ったのでしょう。でも彼は、まさか設問の是非および自らの人格にまで話が及ぶなんて夢にも思っていなかったんじゃないかと。僕はそこまで男根主義丸出しの文章だと思わなかったし*1、むしろ彼のこれまでのエントリーでもっと問題ありな内容がいくつかあると思う。そういう下世話な部分をユーモアで読み安くしているところを僕は面白がっていたし、多くの方がそうだと思っていたのですが、実はかなり多くの方々が、その事に対して相当な反感を持っていたという事が今回の一件で判明した訳です。「あいつ、気に入らないからこの機会にDisっちゃおうぜ!」みたいな感情が、はてブの山のようなコメントやいくつかのエントリーの中で、個人的に感じられました。いくつかの客観評価を知りたくて、多少刺激的な質問を投げかける事と、それに対して人格否定にまで発展するようなネガティブコメントを世界的に発し続ける事と、どちらが反吐が出そうかと言えば、僕は後者です。タケルンバさんのtwitterでのつぶやき一つにまで、大量のブクマコメントがついてるの見たときは寒気がしました。セクハラかましてニヤニヤしてる親父たちと何が違うのかと。

このGDの本来の目的が、こういう人間の暗部をえぐり出すことが目的だとしたら、それは大成功という事になるのでしょうね。

id:kanoseさん
僕がこの記事に対して、「タケルンバさんがスルーしている」と表現したのは、いくつかの問いかけにある程度丁寧に答えを返した後の、

なんかあちこちでえらい勘違いが加速しとるなー。おもしろいから、もうちっと放置するかー。

という発言を指しての「スルー」です。もちろん有村さんなどとの会話を見てなかったわけではありません。

*1:「感情論」という表現も、客観描写だと捉えていました。