モンドヴィーノ〜ワインの世界〜

モンドヴィーノ [DVD]

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世間で語られているほど勧善懲悪的な内容には感じなかった。確かにモンダヴィ親子を映す時のカメラワークとか、ロランの高笑いの描写とかに編集者の悪意は感じるけど、基本的にどちらの主張もでき得る限り平等に扱っているんじゃないかと。明らかに監督さんはテロワールを大事にしてる作り手たちに肩入れしてるのはよく分かるけど。
これまでいくら言葉で説明されても理解できなかった「テロワール」の意味というかニュアンスが、この映画を見てよく分かりました。あの頑固そうなおじいさんの造ったワインを飲んでみたくなった。
ただ、いくらインターネットが発達してきたとはいえ、我々が口にできるワインのほとんどがグローバル化の波に飲み込まれたワインであるだろうし、ロラン氏やモンダヴィ親子やパーカー氏みたいな人がいなければ口にできなかったワインもあるだろうから、必ずしもグローバル化が絶対悪だとは思えない。「どこでも、誰でも、偉大なワインは造れる」というコンセプトを広げようと努力している姿には感心さえする。そういう種類のワインを飲んで初めて、それぞれの「テロワール」のおいしさや価値が理解できるのだと思うし。
逆に「選ばれし土と気候から生まれる選ばれしワイン」と表現してもいいようなテロワールを大切にするワインがなくなればいいとも思えない。結局同じワインでありながら、それぞれがまったく違うものであって、それこそがワインというお酒が深く我々を魅了する理由なのでしょう。
まあ、オーパスワンさえ飲んだことのない私のような人間が偉そうに言えませんが。この映画を見てると彼らにとって本当にワインは文化なのだなと感心しきりです。みんな熱く語ってるもんなぁ。