Number 662 イビチャ・オシム独占インタビュー 「日本人はできると信じている」

オシム監督就任後、短い期間で数試合が行われ、彼が目指している日本代表のあるべき姿がおぼろげながらも見えてきたところで、実際に彼の口からその想いが直接語られた貴重なインタビューだと思う。あえて日本のジャーナリストではなく、同業者であるリトバルスキー氏によって行われたことも内容が濃くなった要因であろう。
語られている事はしごく真っ当な事ばかりで、特に驚くべきものではない。特定のクラブから多く選ぶこと=同じ方向性を持つ選手を選ぶ事で少ない時間でチームを作り上げようとしていた事や、いわゆるプレーメイカーは複数人必要ないと思っている事など、大体こちらが予想していた通りである。
上記のインタビューのタイトルを見て欲しい。「日本人はできると信じている」・・これはインタビュー中に、リトバルスキー氏が若干懐疑的なニュアンスで、日本人に出来るでしょうか?という質問をした時に、オシム監督が激高して語った言葉だ。この台詞、聞き覚えがないだろうか?
オシム監督が指揮した数試合の後、メディア上でオシムジーコには実は共通点が多いのではないかという意見が多く見られた。「オシムオシムって言うけど、同じじゃん」という見方もあれば、「意外と共通点が多くて興味深い」という見方をする人もいた。そして今回の同じ号に前任者であるジーコ氏のインタビューも載っている。この中で語られているのは就任当時から変わらぬ選手達に対する信頼とそれに答えてくれなかった失望だ。彼もこう思っていたに違いない。「日本人は出来ると信じている」と。
もう改めて語る必要もないと思う。違いは明白だ。ジーコの信頼が、あの当時お祭り騒ぎをしていた日本のメディアと同じように盲目的であったのに対し、オシムは信頼をよせながらも、日本のサッカーに欠けているものを熟知し、それを正す方法もイメージできている。インタビューの終盤では、その具体的なビジョンが語られている。言葉は同じでも中身は雲泥の差だ。
日本のサッカーは正しい方向に進んでいる事を改めて再認識できたとても素晴らしい記事だと思う。必読です。